建築費はオリンピック特需の影響で今まで上がり続けていました。コロナが終息した後、建築費は高騰するのか下落するのか、過去のデータを基に分かりわかりやすく解説していきます。
建築費の推移、コロナショック後の予想
【出典】一般財団法人 建築物価調査会 建築費指標
建設業就業者の推移と建築費
コロナショック前までは、どこの企業でも人手不足が問題となっていました。それは建設業界も同じで、以前から人手不足が問題となっていました。
下記データは、1985年~2019年までの建設業就業者数の推移です。
【出典】総務省統計局 労働力調査データに基づくデータ(万人単位)
1997年をピークに建設業界への就業者数は減り続けています。理由は、職場環境の悪さ、高齢化に伴う人手不足等が原因と言われています。
今後、テクノロジーの進展で、工事現場の機会化など、ほぼ無人で工事が行いるようになる可能性もありますが、そうなるまでにはまだまだ時間が掛かりそうです。
人手が少なければ、労務単価が大きくなり、建築費が高騰していく事になります。建設業界は今も慢性的な売手市場となっています。
鉄資材価格と建築費
【出典】鉄鋼新聞 市中相場 異形棒銅直送SD295.19ミリに基づくデータ
2004年~2008年この期間の鉄資材価格が高騰していました。1999年と2008年を比べると約3.3倍にも跳ね上がっていることが分かります。
理由は、中国や中東における建設ラッシュにより世界的な鉄の需要が高まったことが要因となっています。
2008年をピークに、2015年に一旦下落するものの、また2017年頃から現在まで高値圏を推移しています。
原油価格と建築費
【出典】BP statistical review of wold energy
2005年から2008年までは原油価格も約2倍の水準まで大きく上昇した為、資材の運搬や現場における建機の燃料、アスファルトやゴム製品等の原油からなる材料などの価格も上昇していました。
原油価格の上昇も間接的に建築費の高騰に影響を与えたと考えられます。
今後、建築費はどうなるか?
個人的には、今回のコロナショックの影響で世界的に景気が一旦冷え込み、建築需要が低下し、それに伴って建築費も下落していくものと考えています。
2008年のリーマンショック時と同じような動きになると予想しています。
過去、建築費が高騰した理由には、東日本大震災の復興による建設需要や、消費税増税前の駆け込み需要等がありましたが、今回のコロナショックでは、コロナ終息後も世界経済の回復は緩慢なペースになると見られています。
今後、建築需要は低下し「買手市場」が形成され、建築費の高騰は一旦落ち着くものと思われます。
とはいえ、今後コロナ終息後に大胆な景気刺激策が実施される可能性もある為、コロナ終息後、下半期の建築費の推移には注目をしていきます。
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