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騒音トラブルで慰謝料請求が認められた事例

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騒音トラブルで慰謝料請求が認められた事例

 「マンション上階の幼児による騒音について、下階住民からの慰謝料請求が認められた事例」(東京地判平19・10・3)

騒音トラブルで慰謝料請求が認められた事例

 この判例で、騒音を出しているのは3~4歳の子供、騒音を出している上階住民はマットを引くなどして対策を一応していたようですが、騒音はなくならず、上階住民の子供へしつけや下階住民に対する誠実な対応をしなかった事等が原因で慰謝料請求が認められています。

 現在、同じような騒音トラブルで悩まれているようであれば、騒音計で暗騒音(あんそうおん)=騒音がない状態の騒音レベルを計測し、騒音発生時の騒音レベルを計って比べてみても良いかもしれません。

 音の感じ方には個人差がありますので、あまり感情的にはならず、管理会社等を通して落ち着いて話し合いを進めて行く必用があります。

 「●●号室の●さんの部屋が毎日うるさい」と近所等に言いふらすと逆に名誉毀損なる事があります。

事案の概要

 下階住民は、平成8年に購入し、居住している住戸(3LDK、以下「下階住民」という。)のあるマンション(以下「本件マンション」という。)は、昭和63年6月ころに建築された。

 本件マンションの床は、日本建築学会の建築物の遮音性能基準によれば、遮音性能上やや劣る水準に該当する。

 本件マンション付近は、第1種中高層住居専用地域で、北側には駐車場を挟んでバスも通行する片側1車線の道路が存在する。

 下階住民住戸の暗騒音は27~29dB程度である。

 上階住民が、平成16年2月ころに下階住民住戸の直上の住戸(3LDK、以下「上階住民住戸」という。)を賃借し居住する前、上階住民住戸から下階住民住戸に及ぶ音はさしてひどくなかったが、上階住民の居住開始後、その長男が在室のときは、室内を走り回ったり、跳んだり跳ねたりすることが多くなり、その音(以下「本件音」という。)がひどくなった。

 下階住民が管理人に相談した結果、管理組合でもそれを取り上げるようになり、管理組合名で、本件マンションの各戸に音、特に、子供の室内騒音発生を抑えるようにとの書面が平成16年3月4日付けで配布された。

 しかし、本件音の状況が改善されないので、下階住民は、再度管理人に相談し、同年4月、上階住民の住戸に、騒音抑制に配慮して貰いたいとの手紙を投函した。

 これに対し、上階住民は、下階住民が天井を物で突いたことを非難する内容の手紙を、下階住民の住戸に投函した。

 下階住民は、翌月、上階住民の住戸を訪ね、話し合ったが、上階住民は乱暴な口調で突っぱねた。

 同年6月には、下階住民が、下階住民の住戸付近で上階住民と出会って配慮を求めた際、上階住民は「努力しているが、これ以上は努力することができない。下階住民はうるさい。あたなが私に直接訴えても無駄であるから、他の人に訴えるように。」と乱暴な口調で言った。

 管理組合は、下階住民の申入れに基づき、同年6月に日常の生活音について配慮することを掲示板に掲載したり、同年7月に本件マンションの各戸に配布したりし、下階住民は、本件マンションの管理組合や警察にも相談し、警察官も数回本件マンションを訪れたが、解決には至らなかった。

 下階住民が、機材を購入し、騒音を測定したところ、本件音は、上階住民が退去した同年11月17日までのほぼ毎日、下階住民の住戸に及んでおり、その程度は、50~65dB程度のものが多く、午後7時以降、時には深夜に及ぶことがしばしばあったこと、長時間連続して下階住民の住戸に及ぶこともあったことが明らかになった。

 なお、上階住民の長男が保育園に通うようになって以降その間は、本件音は、下階住民の住戸に及ばなくなった。

 下階住民は、平成17年4月8日、上階住民に対し、騒音の差止め及び損害賠償を求める旨の調停を求めたが、上階住民は、これに応じなかったため、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料200万円及び弁護士費用40万円の合計240万円の支払いを求めて提訴した

判決と内容のあらまし

 裁判所は、以下のように判示し、下階住民の請求を36万円の限度で認容した

 本件音は、上階住民の長男(当時3~4歳)が廊下を走ったり、跳んだり跳ねたりするときに生じた音である。

 本件マンション2階の床の構造によれば、重量床衝撃音遮断性能は、LH-60程度であり、日本建築学会の建築物の遮音性能基準によれば、集合住宅の3級すなわち遮音性能上やや劣る水準である上、本件マンションは、3LDKのファミリー向けであり、子供が居住することも予定している。

 しかし、平成16年4月頃から平成17年11月17日ころまで、ほぼ毎日本件音が下階住民の住戸に及んでおり、その程度は、かなり大きく聞こえるレベルである50~65dB程度のものが多く、午後7時以降、時には深夜に及ぶことがしばしばあり、本件音が長時間連続して下階住民の住戸に及ぶこともあったのであるから、上階住民は、本件音が特に夜間及び深夜には下階住民の住戸に及ばないように上階住民の長男をしつけるなど住まい方を工夫し、誠意のある対応を行うのが当然であり、上階住民がそのような工夫や対応をとることに対する下階住民の期待は切実なものであったと理解することができる。

 しかしながら、上階住民は、床にマットを敷いたものの、その効果は明らかでなく、それ以外にどのような対策を採ったのかも明らかではない。

 一方、下階住民に対しては「これ以上静かにすることはできない。」と下階住民の申入れを取り合おうとせず、その対応は極めて不誠実なものであったということができる。

 そのため、下階住民は、やむなく訴訟等に備えて騒音計を購入して本件音を測定するほかなくなり、精神的にも悩み、下階住民の妻には、咽喉頭異常感、不眠等の症状も生じたのである。

 以上の諸点、特に上階住民の住まい方や対応の不誠実さを考慮すると、本件音は、一般社会生活上下階住民が受忍すべき限度を超えているものであったというべきであり下階住民の苦痛に対する慰謝料としては、30万円が相当である。また、弁護士費用は6万円とする。

まとめ

 私も、マンションの騒音トラブルについては相談を受ける事がたまにあります。この判例では上階住民からの騒音ですが、下階住民からの騒音でトラブルになっているところも実際にあります。

 また、近隣住民とのトラブルは売却する時の価格に大きく影響します。不動産業者は購入検討するお客様に対して事前にトラブルになっている事実を伝えないといけない為、近隣トラブルが発生している物件を承知で購入する方はかなり少なくなると思われます。

 騒音トラブルの原因は、コミュニケーション不足によるものが大きいとされています。とはいえ、別の階の住民と話をする機会はめったに無いはずです。子供さんがいるご家庭の方は特に引っ越しの挨拶だけはしっかりとしておきましょう。

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