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マンションの建替えに区分所有者の一部が反対

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マンションの建替えに区分所有者の一部が反対

 マンション建替組合による区分所有者に対する売渡請求が有効であると認容された事例(東京地判平27・1・26)

マンションの建替えに区分所有者の一部が反対

 分譲マンションの建替えに関する問題は、今後確実に増えていくものと思われます。

【出典】国土交通省の資料「築後30、40、50年超の分譲マンション戸数」(令和2年7月1日更新)

 築50超えの分譲マンション戸数は、20年後、令和元年の戸数に対して約18.5倍にまで増えている事が分かります。

 表は「棟数」ではなく「戸数」になっていますが、棟数も相当な数になるかと思われます。

 当然、分譲マンションの建替えに関する判例も増えて行くと思いますが、トラブルや余計な争いを避ける為にもこの判例は重要な事例の一つといえます。

【用語解説】

解除条件とは、条件の成就によって法律効果の効力が消滅する条件のことです。

停止条件とは、その条件を充たしたときに法的効力が「発生」する。

停止条件付き契約では契約効果はまだ生じていないのに対し、解除付き条件では既に契約効果は生じているという点が大きな違いです。

事案の概要

 平成24年3月、昭和28年竣工の都内マンション(以下「本件マンション」という。)の区分所有者全員を構成員とする管理組合法人は、区分所有者集会を開催し、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)62条1項に基づく、本件マンションの建替え決議について審議を行い、建替え決議が成立した。

 その際、本件マンション10階に居住する区分所有者(以下建替え「建替え反対者」という)(被告)は建替え決議に賛成しなかった。

 管理組合法人は、区分所有法63条1項に基づき、建替え反対者に対し、平成24年3月19日付催告書により、その到着後2か月以内に建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を催告し、同催告書は同月20日に建替え反対者に到達した。

 建替え反対者は、管理組合法人から送付された回答書用紙の「参加・不参加」欄のうち、「参加」を○で囲み、その欄外に

但し、建替決議無効の確定判決を解除条件とします。」と付記した回答書を作成して、これを管理組合法人に返送し、同回答書は同年4月12日頃に管理組合法人に到達した。

 建替え反対者は、別途「区分所有法第63条2項に基づき、建替えに参加する旨を本書により回答します。

 但し、同年3月12日付「建替え決議」が無効な場合はこの限りではありません。

 近日中に、建替え決議無効の訴えを提起し、建替え決議の効力を争う所存であることを、念のため、申し添えさせていただきます。」などと記載した回答書を作成して、これを管理組合法人に送付し、同回答書は4月13日に管理組合法人に到達した(以下、これら2通の回答書による回答を「本件回答」という)。

 建替え反対者は、同年4月頃、管理組合法人に対し、本件建替え決議が無効であることの確認を求める訴えを提起したが、平成25年3月5日、請求棄却の判決がされた。

 建替え反対者は、これを不服として控訴及び上告受理申立てをしたが、6月25日に控訴棄却の判決がされ、平成26年5月19日に上告不受理決定がされて確定した。

 円滑化法9条1項に基づき平成25年8月1日に設立が認可された本件マンション建替組合マンション建替組合(原告)は、建替え反対者が区分所有法63条2項所定の期間内に本件建替え決議の内容により建替えに参加する旨の回答をしなかったとして、円滑化法15条1項に基づき、平成25年9月19日付売渡請求権行使書(以下「本件売渡請求」という。)により、建替え反対者の区分所有権等を時価(2763万円余)で売り渡すべきことを請求した。

判決と内容のあらまし

 裁判所は、次のように判示してマンション建替組合の請求のうち、売渡請求額は変更したが、その余はマンション建替組合の請求を認容した。

 ⑴建替え反対者が円滑化法15条1項の建替えに参加しない旨を回答した区分所有者にあたるか区分所有法63条1項は、建替え決議があったときは、建替え決議に賛成しなかった区分所有者に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かの回答を催告すべき旨を定めた上、同条2項で催告を受けた区分所有者は2か月以内に回答しなければならない旨を定め、同条3項で催告期間内に回答しなかった区分所有者は、建替えに参加しない旨回答したものとみなす旨を定めている。

 その趣旨は、建替え決議に賛成しなかった区分所有者のうち、催告期間内に参加の回答をした者が建替えに参加し、それ以外の者は建替えに参加しないことを2か月の催告期間満了の時点で確定して、建替えに参加する者と建替えに参加しない者とを峻別(しゅんべつ)し、建替えに参加しない者に対する売渡請求(同条4項)の手続きを進めることを可能とすることにあると解される。

 そうすると、催告期間満了時点では、建替え反対者が提起した建替え決議無効確認訴訟は第一審係属中であったことから、本件回答のように建替えに参加するのか否かが催告期間満了の時点では判明しない内容の回答をしたことをもって、建替え反対者が催告期間内に建替えに参加する旨を回答したということはできない。

 したがって、建替え反対者は、区分所有法63条3項により、建替えに参加しない旨の回答をしたものとみなされるから、円滑化法15条1項の「区分所有法63条4項に規定する建替えに参加しない旨を回答した区分所有者」にあたり、本件売渡請求は有効であって、その意思表示が建替え反対者に到達した平成25年9月21日の時点で時価による売買契約が成立し、建替え反対者の区分所有権等は、建替え反対者からマンション建替組合に移転したというべきである。

 ⑵建替え反対者の区分所有権等の時価円滑化法15条1項にいう「時価」とは、建替え決議の内容により建替えが予定されていることを前提として、売渡請求がされた時点における区分所有権及び敷地利用権の取引価格を客観的に評価した額をいうものと解するのが相当であり、その額は、不動産鑑定評価による3360万円とするのが相当である。

まとめ

 

 分譲マンションの寿命に関しての質問は多いですが、一概にどの分譲マンションも同じ寿命であることはありません。

 新耐震マンションか旧耐震マンションかでも違いがありますし、防水や配管等の定期的なメンテナンスを実施しているかどうかによっても違って来ます。

 また、区画整理などのインフラの整備による建替えも今後考えられます。

 また、街の中にある昔の建物の中には、神戸市のように街の景観の一部になっているような素晴らしい建物もあるので、芸術的な価値のある建物は、その外観を継承するような建物が建築されていくこと事を望みます。

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